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巨大組織に新しい企業カルチャーが生まれた。職人からリーダーへ。エンジニアたちの覚悟と決意。

2022.10.12

巨大組織に新しい企業カルチャーが生まれた。職人からリーダーへ。エンジニアたちの覚悟と決意。

情報通信

日本随一のコングロマリット。そのIT機器や情報インフラを一手に担ってきたK社。しかし、オープンイノベーションが主流となったこの業界において、現在もなお社内依存率100%の状態が続いていた。いわゆる「社内御用聞き」では生き残っていけない。脱却を図るべく、新社長は中期経営計画を策定。強い意志を持って、連続的なイノベーションを生み出す組織へと改革する。その鍵は組織を牽引するリーダーの育成にあった。時間に余裕はない。変革の起点を中堅社員に絞って、選抜型プログラムが始まった。

時代をつくるのは、いつだってエンジニアだ。

ゴールにおいたのはこのプログラムを通して、まだ見ぬ新しい価値を創造し、経営陣に突きつけること。もちろん簡単ではない。集まった精鋭たちは、これまで自分の腕を頼りに一匹狼で時代を築いてきたエリートたち。多分に漏れず「ザ・エンジニア」である彼らは、口下手で、癖が強い。腹から納得できないことには決して首を縦に振らない。彼らをして周りを巻き込み、新しい価値を生み出さしめるものとは何か。長い沈黙が続いた。

空気が変わったのは、社長自らが参加したラウンドテーブル座談会だった。社長自らが口火を切る。「俺は今、社長業をしている。だが、俺だってエンジニアだ。エンジニアはいつも時代をつくってきた。これからの時代をみんなでつくろうじゃないか。」お世辞にも流暢なプレゼンではなかった。しかし、確実にエンジニアたちの心が動いた。

動き出した変革プロジェクト。

冬風が突きつける11月の八ヶ岳。24名の精鋭たちが、真剣に自らと向き合っていた。「自分はなぜ、エンジニアなのか」「その先の未来をどうプロスペクトしていくのか」「自身の拘りはどこからきているのか」。自分を開示することで、他者とのアサーティブな関わり方が生まれた。拘りが強い分、想いも強い。チームプロジェクトも一人一人が拘りに拘った。

最終日、各チームが変革プロジェクトを提言する。その後、変革リーダーとしての一人ひとりが自らの想いを宣言した。社長を含む全ての執行役員と統括部長が、一日かけて25名全員の宣言を聞いた。最後の一人の宣言が終わった後、社長が役員たちに向かって言葉をかけた。「彼らの宣言を実現させるのが君たちの、そして私の使命だ」。組織に新しいカルチャーが芽生え始めている。もちろん、大切なものはしっかりと継承しながら。