III:社会との再接続
Reignite(再着火)の最終フェーズとなるのが、社会との接点の再構築と未来ビジョンの可視化です。
ケージから踏み出す ― 自分と社会との関係を問い直す
このフェーズでは、「自分が社会に対してどう関わっていくのか?」という問いが浮かび上がります。ただしそれは、単なる「社会貢献「ではありません。もっと個人的で、切実なレベルでの問いです。
ここでご紹介したいのが、南アフリカのネルソン・マンデラのエピソードです。
彼は27年間、政治犯として獄中で過ごしました。自由を奪われた環境にあっても、自らの信念を捨てることなく、「いつか自分が社会に出たとき、必ず役に立てる」という想いを抱き続けたといいます。
実は、私たちはそのマンデラ氏を見守り続けた元看守の方とも縁があり、彼の目を通した「マンデラの姿勢「を聞く機会がありました。
この話から私たちが学んだのは、人は時として、自分自身で自分を檻の中に閉じ込めてしまっているということです。
「もう自分は社会に出ていくステージではない」
「自分には何も残っていない」
そうした「見えない檻「を壊すために必要なのは、社会とつながるリアルな体験です。それはボランティアかもしれませんし、副業のような実践機会かもしれません。
「誰かの役に立てた」「まだ自分には価値がある」――そんな実感が、本人の中に眠る意志の灯を再びともすのです。
ビジョンを描き、自分の未来をマッピングする
こうした外との接点を経て、いよいよ必要になるのが、「自らの未来を描く力」です。
私たちのプログラムでは、「ビジョン・マッピング」というセッションを行っています。これは、単なる目標設定ではありません。
- 自分が本当に望む未来とはどんな姿か
- 今の自分はどこに立っているのか
- その未来に向けて、何をどのように変えていくのか
――こうした問いに向き合い、絵や図を用いて「自分の地図」を可視化していくプロセスです。
経営には経営戦略がありますが、個人には「人生戦略」を描く機会がなかなかありません。だからこそ、あえてクレヨンを使ったり、手を動かしたりしながら、自分の内面とじっくり対話する。これが大きな気づきと変化の引き金になります。
そして最後に立ち返るのが、自分の暗黙知=武器です。
その武器を「どこで」「どう生かすか」。個人として、組織の中で、あるいは組織を離れた後にどう活用していくか。そこまで含めて、自らの「未来のステージ」を選び取るセッションを行っていきます。