JA

/

EN
JA

/

EN

「シニア社員のセカンドキャリア」を考える共創ミーティングレポート

2025.04.28

「シニア社員のセカンドキャリア」を考える共創ミーティングレポート

63歳で早期退職した「サンナル」さんのお話

Hiro

サンナルさんは63歳で早期退職を選ばれたそうですね。

サンナル

はい。私は自動車メーカーに41年間勤めて、人事や海外業務などさまざまな仕事をしてきました。最終的に63歳で早期退職を選び、帰郷のために退職日を決めたんですが…。当時50代後半から定年までの人間は、社内では超えは「妖精さん」と呼ばれていました。「いるけど何してるかわからない存在」という意味ですね。

Hiro

早期退職を決意してから次の一歩はどうやって?

サンナル

まず会社が手配してくれた人材紹介エージェントに登録して職務経歴書を書いたんですが、担当のコンサルタントから「60歳過ぎの紹介案件はほとんどありませんよ」「63歳ならなおさら厳しい」と、かなり突き放されました。本当に仕事がなかったので、ヤマト運輸の仕分けアルバイトなどをして過ごしました。半年ほど過ぎた頃に、自動車メーカー時代の仲間に声をかけてもらい、浜松のスタートアップ企業で働くことになりました。それからは、宮津の旅館の再生化を目的とした研修などにもかかわり、若いメンバーたちに混じって充実した日々を過ごしています。

ロージー

サンナルさん、ありがとうございました。今回「サンナル」さんをお呼びした背景としては、シニア社員の方々が置かれているリアルな状況を共有していただくことで、ディスカッションのきっかけになればと思ったのです。どなたかご質問はありますか?

ゲスト:
私自身は退職後も「自分が関わることで誰かの役に立てて、かつ最低限の収入もある」そんな働き方ができたらいいなと思っています。サンナルさんはボランティアなども考えていますか?

サンナル

私自身は、ビジネスとボランティアの境目にあまり線引きをしていません。無報酬でも面白ければやるという感じです。現役時代からも、海外赴任などを通じて、わりと「どこに行ってもやる」という感覚は持っていたと思います。

ゲスト:
旅館再生のプロジェクトに参加されたと聞きました。ずっと会社人間だった人が、そうした外のコミュニティに入っていくのって、抵抗感があると思うんですが。。。

サンナル

旅館再生のプロジェクトについては、私は研修を運営する側の事務局として参加していました。参加者の皆さんは、各企業の部長クラスの方が中心で、21名がチームを組んで取り組みました。期間は2ヶ月。実際に現地に行って、泊まり込みも含めて活動します。

最初は正直、盛り上がりに欠けていたんですが、徐々に打ち解けていき、大人の「遠足」のような感覚でした。いまでもそのメンバーで交流が続いています。

重要なのは「場所を変え、時間をかけて他者と接し、そして内省すること」。それが人生の視点を変えるきっかけになるのだと思います。強制的に放り込まれることで、最初は後ろ向きだった人でも変わっていく人がたくさんいました。起業された方もいれば、元の会社に戻って活躍されている方もいます。

ゲスト:
もし50代のときからこんなことをやっておけば…と思うことがあれば教えてください。

サンナル

私はこれまで11回の異動を経験しました。そのたびに新しい場所で、新しい仕事に就く―つまり、常に「アウェイ」だったんです。最初は「何しに来たの?」と警戒される。でも、その中で「自分にしかできないこと」を見つけてきました。

自分が何者かを再定義して、その場にフィットする形を見つけていく。誰にでも「自分ならでは」は必ずある。だからこそ「当てにされる」ことが何よりうれしい。逆に、それがなくなると、やっぱり寂しいですよね。

もし50代のときに、こうした気づきを得るような機会があれば、もっと違った人生設計ができたかもしれませんね。

ゲスト:
早期退職後、再就職支援会社に登録されてご自身では「何とかなる」と思っていたのに、現実は違った。そのとき、かなりショックだったのではないですか?それでも立ち直れたのはなぜでしょうか?

サンナル

転職活動を通して強く感じたのは、一社一社「見えている世界がまったく違う」ということ。同じ人事という職種でも、企業によって制度の捉え方や価値観が全然違う。私は長い間、大手企業の人事をやってきたから「他の会社でも通用するだろう」と思っていた。でも、それは甘かったなあと思います。気づける題材はいっぱいあったはずなのに、気づこうとしていなかったんでしょうね。

ロージー

いま皆さんの表情を見ると、さまざまな気づきが生まれていることが伝わってきます。人事企画の立場の方にとっても、シニアの現実を肌で感じる貴重な機会になったのではないでしょうか。

それでは、ここでいったん休憩に入ります。再開は19時からです。引き続き、対話の時間を楽しんでいきましょう。

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11