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統合で生まれた巨大組織の内部で、リーダーたちの心が一つになるまで。

2022.10.12

統合で生まれた巨大組織の内部で、リーダーたちの心が一つになるまで。

住宅建材

国内住宅市場は成熟し、業界全体として大きな転換期を迎えていた。国内の主要な建材・設備機器メーカー数社が統合して誕生したI社。各社の強みを活かすことで総合的な住空間のプロデュース業への変革を図ると同時に、海外事業を強化するために海外M&Aを積極的に行っていく。しかしながら内部では未だ旧会社の鎧が外れず、経営層の意思疎通すら図れない状態にあった。

リーダーたちの意識改革。

建材メーカー数社が統合された。市場の期待は大きく、1兆円の時価総額が5年で1.8兆円まで増幅した。着任した海外企業出身の経営者は、シュリンクする日本経済からの脱却を図り、グローバルに舵を切る。ところが、内部ではあいもかわらず旧会社が個別の事業戦略を変えようとせず、統合の付加価値がここにきても大きく跳ねてこない。リーダーたちの意識変革という火急の課題に向けて、プログラムが組まれた。

自分の心を絵に描く。

各部門長がそれぞれ小型漁船に乗り込み、無人島に集結した。初日。最初のセッションはなんと実際に絵を描くことから始まった。一人ひとりが自らの心の中にあるビジョンを絵に描く。こんなことに意味があるのか。戸惑いながらも取り組む参加者たち。できあがった絵を心理学の専門家が解読する。意外な深層心理が浮かび上がる。「確かに自分の中にはこんな思いがあったかもしれない」。狭小な役割意識が外れる。そして、互いの共通点も浮き彫りになった。

外れた鎧。

2日目。個々の想いや信念を真剣に可視化する。過去の自分に向き合い、未来のありたい自分を絞り出す。なぜ自分はここにいるのか。自分が本当に果たすべき役割とはなにか。その使命感は、この組織をどこに導くのか。視座が高まる。心の中にしまわれていた本来の利他の心が開く。最終日。かつて隠れキリシタンたちが建てた教会で、それぞれが志を宣言した。その高い志のスケールに、着飾った鎧は、もう跡形も見えなかった。