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マイナス10度。モンゴルの大平原で。

2022.10.12

マイナス10度。モンゴルの大平原で。

教育・研修

「あなたは一体何者なのか?」と、他人から正面切って問われたとき、明快な言葉で即答できる人はどのくらいいるだろうか。自己を形成する本質は何か。譲れない価値観か、あるいは大切にしたい信条か。

プロフェッショナルの定義。

『Leadership Journey in Mongolia』は、「あなたは一体何者なのか?」という問いに自ら答えを見出すための、まさに『旅』であった。「他人をリードする前に、まずは自分をリードする」。そのためにはゆるぎない自己を確立する必要がある。一貫した判断軸、共感できる価値観がなければ、フォロワーはついてこず、リーダーシップは成立しないからだ。

旅のクライマックスは、モンゴルの丘の巨石に登ってのリーダーシップ宣言だった。自分が大切にしたい軸は、『プロフェッショナリズム』であると確信した。仲間からのフィードバックをもとに考え抜き、言葉として紡ぎだした自分なりの『プロフェッショナルの定義』に力を込めた。そして、その先におぼろげながら見ていたビジョンの実現に向けて、覚悟を決めて宣言した。モンゴルの雄大な景色を眼下に望みながら、清々しい気持ちに包まれた。

過去の自分に落とし前をつける。

しかしながら、ここにたどり着くまでには、痛みを伴う内省もあった。新卒で入社し、長年勤めた会社を去ることになったこと。憧れて飛び込んだコンサルティング業界で疲れ果てたこと。『敗北感』という言葉が口をついて出た。しかし、私は一体、何に負けたというのだろうか。勝ち負けを分かつものは何なのか。仲間の問いかけとも自問ともつかぬ声が、ぐるぐると頭をめぐる中、旅の伴走者である八木氏の言葉で目が覚めた。

「自分の過去に自分で落とし前をつけよ。起きた出来事を総括して、前に踏み出す意義を見出せ。そうすれば、『敗北感』などという言葉は出ないはずだ。精一杯やったと思えるなら、結果はともあれ『これでいいのだ』と思えるのではないか。ビジネスの世界では、他人は結果を評価するだろう。しかし、プロセスを評価できるのは、あなた自身ではないか。」

一生忘れられない体験。

八木氏の後押しを得て、翌朝早くゲルを抜け出し、リーダーシップ宣言を一気にまとめた。マイナス10度を下回る、痛いほどの寒気の中、震える手を押さえつけながら書きなぐったのは、決して自己満足的なパフォーマンスではなかったと思う。モンゴルの『場の力』を借りて、私の宣言をまとめたかったからだ。

そうしてまとめた自身のリーダーシップ宣言は、現時点の自分が描ける精一杯を盛り込んだ、満足できるものとなった。また、仲間のリーダーシップ宣言も、いずれも素晴らしいものだった。自身と同じく、苦しみながら言葉を練り上げた、そのプロセスを間近にみているだけに、感動もひとしおだった。Leadership Journey in Mongoliaは、記憶に深く刻まれる体験となった。

※本記事はサイコム・ブレインズ株式会社より寄稿いただきました。

サイコム・ブレインズ株式会社 https://www.cicombrains.com

1996年設立。国内外で企業内研修、公開講座、オンライン教材、アセスメントを提供し、企業の人材開発・組織開発を支援している。主な領域は、経営リーダー育成、経営グローバル化、営業力強化、ダイバーシティ推進など。