63歳で早期退職した「さんなる」さんのお話

ロージー
さんなるさんは63歳で早期退職を選ばれたそうですね。

さんなる
はい。私は自動車メーカーに41年間勤めて、人事や海外業務などさまざまな仕事をしてきました。最終的に63歳で早期退職を選び、帰郷のために退職日を決めたんですが…。当時50代後半から定年までの人間は、社内では超えは「妖精さん」と呼ばれていました。「いるけど何してるかわからない存在」という意味ですね。

ロージー
早期退職を決意してから次の一歩はどうやって?

さんなる
まず会社が手配してくれた人材紹介エージェントに登録して職務経歴書を書いたんですが、担当のコンサルタントから「60歳過ぎの紹介案件はほとんどありませんよ」「63歳ならなおさら厳しい」と、かなり突き放されました。本当に仕事がなかったので、ヤマト運輸の仕分けアルバイトなどをして過ごしました。半年ほど過ぎた頃に、自動車メーカー時代の仲間に声をかけてもらい、浜松のスタートアップ企業で働くことになりました。それからは、宮津の旅館の再生化を目的とした研修などにもかかわり、若いメンバーたちに混じって充実した日々を過ごしています。


さんなる
私はこれまで11回の異動を経験しました。そのたびに新しい場所で、新しい仕事に就く―つまり、常に「アウェイ」だったんです。最初は「何しに来たの?」と警戒される。でも、その中で「自分にしかできないこと」を見つけてきました。
自分が何者かを再定義して、その場にフィットする形を見つけていく。誰にでも「自分ならでは」は必ずある。だからこそ「当てにされる」ことが何よりうれしい。逆に、それがなくなると、やっぱり寂しいですよね。
もし50代のときに、こうした気づきを得るような機会があれば、もっと違った人生設計ができたかもしれませんね。

ロージー
いま皆さんの表情を見ると、さまざまな気づきが生まれていることが伝わってきます。人事企画の立場の方にとっても、シニアの現実を肌で感じる貴重な機会になったのではないでしょうか。
それでは、ここでいったん休憩に入ります。引き続き、対話の時間を楽しんでいきましょう。